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フランス短期柔道留学

2年の椿です。2月19日から3月4日までの約2週間フランスに行ってきました。現在、東大柔道部では春練中なので、もちろん単なる旅行というわけではなく、短期柔道留学ということでいかせてもらいました。

今回のフランス短期留学は、昨年の夏に日本に柔道修行に来ていたフランス人と友達になり、彼らの帰国後も連絡を取り合ううちに、フランスに来てみないかと言われたことで実現しました。フランスは言わずと知れた柔道大国であり、今回初めて海外で柔道をするということで非常にわくわくした心持ちでフランスへと向かいました。

フランス到着後、アミアンという場所に滞在し、最初はピカルディー大学の練習に参加しました。旅疲れのせいか想像以上に身体が動かず、何度か投げられてしまいました。

翌日からはエタプルという都市を中心にフランス北部の道場を転々とし、その途中にはベルギーのブリュッセルで行われていた形の大会を見に行きました。この大会ではフランスやドイツ、イタリア、ベルギー、スイス、フィンランドなどから数多くの人々が参加していました。形の試合というのは初めて見ましたが、海外の多くの方々が形に懸命に取り組んでいたのは非常に感慨深いものがありました。自分自身形を軽視していた点は否めませんが、参段を取得するためにも、まずは固の形を学びたいと思います。

その後、再びアミアンに戻り、アミアンで行われていた柔道合宿に参加しました。午前は寝技、午後は立ち技の二部練でした。ナショナルチームの合宿ではないので、そこまでハイレベルではなかったのですが、基本的に力が強いので、いつも以上に組手を意識し、また崩しがしっかりできていないと技がかからないので、非常に良い練習になりました。この合宿の2日目には、いきなり大勢の前で技の解説をすることになり、焦りながらもなんとかこなしました(笑)。

アミアンの合宿に3日間ほど参加したあと、パリに向かいました。パリではNIJ(National Institut du Judo)の練習に参加しました。ここは非常にハイレベルで、講道館で行われる実業団の練習会のような印象を受けました。20分ほど打ち込みや投げ込みでアップして、あとはひたすら乱取りです。特に印象深かった乱取りは、非常に力が強く、背中を持っての裏投げや抱きつきの小外刈りを得意とする選手とやったのですが、組手と足技を駆使して2回投げたものの(おそらく技ありと有効)、一度だけ相手の組手を許してしまった瞬間に抱きつきの小外刈りを思いっきりくらってしまいました。今日本柔道が苦しんでいるスタイルですね。こういった外国人選手との稽古では、力技はかからないので、組手によって力をいなす技術や崩しを確認でき、非常に実りある練習となりました。また、日本からわざわざ来といてこいつ弱いなと思われたくないのでそれはもう必死でした。基本的に日本より練習時間は短いですが、慣れない環境で集中するのでヘトヘトになります。日本に閉じこもっていては得られない貴重な体験でした。ちなみに、NIJには谷亮子さんのライバルだったジョシネさんと、オリンピック金メダリストのデコス選手がいました。これだけでNIJのレベルの高さがうかがえるでしょう。

パリには1日半しかいなかったのですが、残りの時間は弾丸観光です。せっかくフランスまで来たので多少は観光させてもらいました。とりあえず有名な観光地をまわりました。ノートルダム大聖堂には15分くらいいたでしょうか(笑)。ルーブル美術館でモナリザも見ましたし、登ってはないですがエッフェル塔にも行きました。シャンゼリゼ通りを歩いて凱旋門も見ました。有名な観光地には必ず日本人観光客がいましたが、柔道着を持ってパリ市内を歩きまわっていたのは僕だけでしょう(笑)。
パリから戻った次の日はアノーというところで子供達を相手に軽い練習をしました。それというのも翌日になんとトーナメントに出ることになっていたのでハードな練習は避けました。そして迎えた最終日、初めての国際大会に出場しました。日本人が出ることが会場全体にアナウンスされ、日本国旗まで出してくれました。そしてなぜか所属が講道館にされており、講道館を代表することになってしまいました(苦笑)。しかし、結果は一回戦を一本勝ちしたあと、2回戦で負けてしまいました。試合では裏投げやすくい投げなどの決まり技が多かったので、返し技を恐れて思い切った技がかけられなかったことに加え、試合運びが下手だったと感じました。身体の動きはそんなに悪くなかったのですが、袖釣りに引っかかって技ありを取られてしまい、その後指導2まで追い込みましたが山場を作れずずるずると逃げ切られてしまいました。乱取りと本番は全然違うということを痛感した試合でした。本番にコンディションを合わせ、実力を出して勝ちきるというのは思った以上に難しいことであり、こうした試合に数多く出る経験が必要だと思いました。ヨーロッパは日本と違ってこのような公式戦以外のオープンな大会がたくさんあり、うらやましく感じました。

負けてしまったものの、僕の試合が終わったあとに観客席から拍手がおこり、また多くの人が僕の柔道をきれいないい柔道だったと褒めてくださり、感動しました。試合後には小さい子供達が集まってきて写真を頼まれたりとちょっとしたヒーロー気分でした(笑)。美食の国フランスに来てまで最後の数日は減量に入り、最終日は朝6時に起きて会場に向かい、試合終了後はそのまま空港に直行して長いフライトを経て日本へ帰るというハードな日程でしたが、柔道留学の締めくくりとしてはふさわしい最終日だったのではないでしょうか(笑)。最後に負けてしまったので悔しさが残りましたが、新たな課題も見つかり、非常に有意義なフランス短期留学でした。

フランス滞在を通して、日本で柔道をしているというと多くの人が僕を歓迎してくれました。僕はフランス語は全くといっていいほどわからないのですが、柔道を通して様々な人と交流することができました。柔道をやっていてよかったと思えるフランス滞在でした。もう一つ感じたのは、やはり柏崎先生の知名度です。そのためになぜか僕が帯取り返しの解説をやらされましたが(笑)。世界の柏崎先生に柔道を教えていただけるのは東大柔道部の大きな魅力だと思います。柏崎先生が練習にいらっしゃるたびに新しい発見があり、自分の柔道が改善されていくのを感じます。こうなってくると柔道は面白いですよ!

話は変わりますが、日本柔道界では現在様々な問題が表面化しています。フランスでは思っていたほど聞かれませんでしたが、柔道発祥の国としてやはり恥ずかしさがありました。フランスの多くの道場ではAmitié(友情), Courage(勇気), Sincérité(誠), Honneur(名誉), Modestie(謙虚), Respect(尊敬), Contrôle de soi(自制), politesse(礼儀)といったスローガンが飾ってあり、乱取りのあとは柔道着をしっかり直してから礼をするというのが徹底されていたように感じます。また、小さい子供が体操感覚で柔道をやっていたりしますし、練習中の雰囲気も日本と異なり和やかです。日本とフランスは違うのでそのまま鵜呑みにするのはよくないですが、日本柔道がフランス柔道から学ぶことは多くあると思います。僕自身フランスの柔道を身をもって体験したことで、日本柔道の良いところ、悪いところを見直すことができたように思います。こうした経験を東大柔道部のより良い環境づくりに還元できたらいいなと思います。
余談ですが、フランスの柔道雑誌はすごいですね。僕がフランスにいたときの新刊は寝技特集で、その中には高専柔道と三角締めが特集されていました。あと、フランスの道場はシャワーのほか、場所によってはサウナまでついていて非常に良い環境でした。

以上でフランス柔道留学の報告は終わりますが、僕がフランスに行っている間に二次試験が終わり、合格発表も近づいているようですね。ということで、僕のブログも受験生へのメッセージで締めくくりたいと思います。

受験生のなかには、中学や高校で柔道部に所属し、大学でも柔道をやろうと決めている人もいるでしょう。大歓迎です!一方で、中学や高校の練習でしごかれ、大学ではもう柔道をやりたくないと考える人も多いのではないでしょうか。しかし、せっかくきつい練習にも耐えて一生懸命努力してきた柔道をつらい思い出で終わらせてしまうのはあまりにもったいないのではないでしょうか。柔道には良い面がたくさんあります。試しに東大柔道部の練習に来てみてください。今まで先生の言うことは絶対という環境で柔道をやってきた人にとっては新鮮な環境だと思います。もう柔道はやらないと決めつけるのではなく、何度か東大柔道部の練習に来てみて柔道の楽しさに気づいてもらえたらなと思います。体育で柔道をやっていただけといった初心者の方も多いでしょう。白い柔道着に白い帯じゃ物足りないですよね。黒帯というものに漠然と憧れを抱いている人もいるかもしれません。経験者ももちろんですが、初心者にとっては特に、大学で柔道をやるというのは大きな決断です。いろいろ不安はあるかもしれませんが、案外やってみればなんとかなるものです。大学生活はいろいろと誘惑も多いですが、そのなかで柔道部を選んだ決断力と行動力はきっと将来役立つはずです。

柔道の魅力を伝えるのって難しいですね。今回のフランス短期留学では様々な出来事があり、書ききれなかったことがたくさんあります。もっと話を聞いてみたいという人がいれば是非東大柔道部にいらしてください。最近は質問掲示板にも受験生からの書き込みが多く、たくさんの新入部員を期待しています。それでは道場でお会いしましょう。

Comments:3

西森大 13-03-08 (金) 11:05

椿君、素晴らしい経験をしましたね。
日々の稽古を通じて自分を見つめ鍛えること。
柔道を通じて、広くいろいろな人と交流すること。
どちらも柔道の魅力です。
他の部員にもぜひ在学中に一度は海外で柔道を経験してもらいたいと思います。

NIJ、懐かしいな。全日本チームのロケで2週間くらい通いました(笑)

宮崎 13-03-09 (土) 1:46

異国の地で練習はおろかトーナメント参加すら辞さない積極性、賞賛に値する。私はスイスに来て6年目、稽古も毎週しているけど気力・体力の不足から試合出場はさすがに無理。在学中、そして大学卒業後も機会があればぜひまた海外の道場を訪れ、東大柔道部の技を世界に知らしめてほしい。

松原隆一郎(部長) 13-03-12 (火) 1:37

これは素晴らしい。師範の伝手かと思ったら、「椿は自分で開拓したルートですよ」とのこと。しかも、フランス語ができないというのが素晴らしい。柔道語で会話したんだな。総長に、「タフな東大生ここにあり」とメールしようかしらん。

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